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裁判官は結局、自分の味方――法廷の冷たい現実

  • 7fuku-law
  • 9月10日
  • 読了時間: 4分

結論から言います――裁判官は、基本的に誰の味方でもない。いや、もっと厳密に言えば「裁判官自身の味方」でしかないんです。

事なかれ主義の塊

裁判官は「中立公平」と言われます。でも、その実態は「事なかれ主義」の塊に近い。とにかく後から批判されたくない。上級審でひっくり返されたくない。だから、余計な踏み込みはしないんです。

例えば、被告の主張がどう見ても怪しい。該当アンケートをとれば、間違いなくみな原告の勝ち。でも原告の立証がちょっと弱い。そんな場面では「原告の味方をしてあげよう」とはならない。むしろ「原告の証拠は不十分。請求棄却。」と、あっさりバッサリ切り捨てる。

つまり、裁判官は「自分が安全でいられる道」を選ぶ。これが現実の「中立」です。

固い証拠がなければ通らない

裁判官は「怪しい」と思っても、証拠が固くなければ認定してくれません。原告には立証責任が課されているため、「証拠が揃ってなければ請求は通らない」という運用です。

要するに、正義とか常識よりも「証拠ファースト」。しかも、その証拠の評価も、かなり「安全サイド」に寄ることが多い。だから「裁判官は真実の味方」なんて期待は持たない方がいいんです。

財産開示期日のリアル

債権回収の場面で登場する「財産開示手続」。判決を取った債権者が、相手の財産を明らかにさせるための制度です。

財産開示期日では、債務者(開示義務者)が裁判所に呼び出されます。そして本人が出頭して、宣誓した上で自分の財産を申告する。財産目録も提出しなければなりません。

ポイントを整理すると、こんな流れです。

  • 財産開示期日は非公開で行われる。

  • 開示義務者本人が必ず出頭し、代理人は不可(法人なら代表者本人)。

  • 宣誓拒否や虚偽陳述は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金。

  • 財産目録には、預金口座なら銀行名・支店名まで、動産なら場所や数量まで書く必要がある。

  • 裁判所や債権者から質問を受けることもある。

こう聞くと、「すごい!裁判所が徹底的に追い込んでくれるんだ!」と思うかもしれません。

でも、実務の現場に立ち会うと拍子抜けします。私も債権者代理人として何度か出ていますが、裁判官の質問は本当に型通り。

「預金はありますか?」「不動産はありますか?」「動産はありますか?」

……以上、終了。

「クレジットカードは持ってますか?」と聞くこともない(多分、クレジットカードは財産じゃないから.…)。「ネットショッピングはどうやってるんですか?」「そのカードはどの銀行に紐づいてる?」「親は生きてる?相続はどうなった?」と詮索的に尋ねていくこともない。そう突っ込めば炙り出せる可能性があるのに、そんなことは一切やってくれないんです。

踏み込んだ質問はまず出ない。結局、債務者が「ありません」と言えば、それで済んでしまう。もちろんウソをつけば処罰の可能性はあるんですが、裁判所がわざわざ調べ上げるわけではない。

なぜ突っ込まないのか

答えはシンプルです。裁判官は公務員だから。波風立てずに一生勤めあげることが目的なんです。余計なことを言ってトラブルになるリスクは負いたくない。

出世といっても、役所的なもの。大きな出世を狙うより、左遷されずに淡々とキャリアを終えることが第一。だから、型通りに質問して、さっさと処理して終わらせる。これが一番安全なんですね。

正義を追求して泥臭いことに踏み込むより、自分の身を守る。裁判官は「正義の味方」じゃなくて、「自己保身マシーン」みたいな存在なんです。

じゃあ、どうすればいい?

ここまで聞くと、ちょっと絶望的に思えるかもしれません。でも、戦い方のヒントもあります。それは「裁判官を動かすのは、感情でも常識でもなく、固い証拠だ」という前提を持つこと。

証拠を積み上げて、「ここまで揃っているなら裁判官も認定せざるを得ない」という状況を作る。これが唯一の攻略法です。

また、財産開示手続のように裁判所があまり突っ込まない手続では、事前に徹底的に調べて、質問書を作っておく。裁判官任せにしないで、こちらが主導して情報を引き出す。そういう工夫が必要です。

裁判官は結局、自分の味方

結論をもう一度繰り返します。裁判官は、基本的に「自分自身の味方」でしかない。弱者の味方でもなければ、正義の味方でもない。

そのことを理解した上で、「どうすれば裁判官が動かざるを得ない状況を作れるか」を考える。これが、裁判を戦う上での現実的なスタンスなんです。

裁判官を過信しない。裁判官に頼らない。――これが、法廷で生き残るための鉄則です。

 
 
 

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