自転車はカサポンもイヤホンも厳罰、モペットは爆走放置?――大阪で見える規制のバランスの悪さ
- 7fuku-law
- 8月31日
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2026年4月1日から、自転車の交通違反に「青切符」が導入されます。信号無視や逆走、スマホをいじりながら運転した場合に反則金を払うことになる新しい制度です。もちろん、自転車事故は多いし、ルールを守ってもらうための仕組みとしては意味があります。
でも、大阪に住んでいる弁護士として、普段の街の様子を見ているとこう思ってしまいます。「自転車よりも、まずはモペットをどうにかしてくれ」
〈モペットとは?〉モペット(moped)は、ペダル付きのフル電動自転車で、見た目は自転車でもモーターだけで走れる乗り物で、海外製や改造品だと50〜60km/h以上出るものもある。自転車に似た見た目のせいで「自転車感覚」で歩道や逆走をしている人が多い。
2026年4月から始まる「青切符」制度
これまでも、自転車の違反に対しては刑事罰(罰金刑)がありました。けれど、処理が大げさすぎて、警察もいちいち捜査して送検するのは現実的じゃなかったんです。だから多くは「注意」で終わってしまい、違反が放置されてきた。
そこで2026年4月1日から、新しく青切符制度がスタートします。反則金を払えば刑事罰にはならずに処理できる。軽くはなるけど確実に取り締まれるようになるわけです。
金額でいうと、
スマホながら運転は1万2000円
信号無視や逆走は6000円
一時不停止や無灯火は5000円
二人乗りや並んで走るのは3000円
そして注意したいのが、イヤホンや傘差し運転も取り締まりの対象になるという点です(反則金5000円)。イヤホンは、たとえ骨伝導イヤホンであっても「聴覚をふさいで安全運転に支障がある」と判断される可能性が高い。また、片手で傘を差して運転するだけでなく、両手をフリーにできるカサポンすらもアウトになる可能性があるとのことです。正直、「そこまで厳しくするのか?」と感じる人も多いでしょう。
バランスが悪すぎる規制
一方でバランスが悪いのは、電動キックボードについては2023年に解禁され、16歳以上なら免許不要で公道を走れるようになったことです。最高速度20km/hとはいえ、まだ安全性への懸念は強い乗り物です。
さらに、大阪の街を見渡すと、もっと危険な「モペット」が野放し状態。見た目は自転車風でも、モーターだけで走れるフル電動自転車で、法律上は原付扱い。免許・ナンバー・保険・ヘルメットが義務ですが、実際には殆ど守られていない。
自転車のイヤホンやカサポンは厳しく取り締まるのに、電動キックボードは解禁、モペットは放置。いくら何でもバランスが悪すぎる。
モペットの危険さ
大阪市内では、ナンバーも付けない、ノーヘルのモペットが爆走しているのをよく見かけます。スピードは原チャリ並みで、逆走・無灯火・信号無視も当たり前 ―― 猛スピードのモペットが、歩道と車道を縦横無尽すり抜ける光景にゾッとします。速度が速過ぎるので、なかなか運転者の顔は確認できませんが、やってること自体のガラが悪過ぎるので、「あー、あの人たちは反社会的勢力なんだな」「普段からオラオラやってるんだろうな」と怖い存在にしか見えません。
東京では警視庁が繁華街でモペットの一斉取り締まりを実施し、ニュースにもなっていました。免許なし・ナンバーなし・ヘルメットなしを次々に摘発して、社会にアピールしているそうです。一方で、大阪は、取り締まりをほとんど見かけない。まさに「無法地帯」と化しています。
まとめ
2026年4月1日から、自転車にも青切符制度が始まります。イヤホンやカサポンまで厳しく取り締まるというのは、事故防止の観点から仕方ない部分もあるかもしれません。
でも一方で、電動キックボードを解禁し、モペットを放置している現状とのバランスの悪さは否めません。
自転車は青切符でルール厳格化
キックボードは免許不要で解禁
モペットは法的には原付扱いなのに、野放し状態
そこで、大阪に住む弁護士としてはこう言いたい。自転車の青切符も大事だが、モペットの取り締まりこそ最優先で進めるべきではないか、と。
そして本音を言えば、警察官もパトカーや白バイだけじゃなく、「同じモペットに乗って追いかけてほしい」とさえ思ってしまう。それぐらい街にあふれていて、普通の車両では捕まえにくいスピードと機動性を持っているのです。
このまま放置すれば、取り返しのつかない事故が確実に起きます。モペットの取り締まり強化は、一刻も早く実現してほしい課題です。


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