公益通報っぽい告発があったとき、会社はどう動くべき?~民事法違反や社内トラブルを見逃さないために~
- 2025年8月27日
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はじめに
最近はニュースなどで「公益通報」「内部通報制度」という言葉をよく耳にするようになりましたよね。改正公益通報者保護法が施行されて、従業員300人以上の会社には内部通報体制の整備が義務化されました。
ただ、実際に会社に寄せられる通報や相談のすべてが「公益通報」に当てはまるわけではありません。たとえば、
契約違反に関するトラブル
民事法上の問題(債務不履行や不法行為など)
就業規則違反やハラスメント問題
こういったものは、法律上の「公益通報」にはならないことが多いです。
じゃあ「公益通報じゃないから対応しなくてもいいの?」と考えると、それはかなり危険です。対応を間違えると、信用を落としたり、労働紛争に発展したり、取引先との関係が悪化するリスクもあるんです。
この記事では、公益通報じゃないけどそれに近い告発があったとき、会社はどう対応したらいいのか? を、実務的なポイントを交えて分かりやすく整理していきます。
公益通報と「それっぽい通報」の違い
まず整理しておきたいのは、公益通報者保護法で守られる通報の範囲です。法律で保護されるのは、刑事罰や行政罰の対象となる法令違反など、一定の「通報対象事実」に限られています。
逆に、民事法違反や契約トラブルはこの枠から外れることが多い。でも、「法的に保護されないから、うちの会社には関係ない」と切り捨てるのは大きな間違い。そこには組織を良くするヒントや、潜在的なリスクの芽が隠れている可能性があるからです。
もし無視したらどうなる?
「公益通報じゃないから」と放置したら、次のようなリスクが出てきます。
社会的信用を失うリスク 外部に情報が漏れたら「隠ぺいする会社だ」と思われかねません。
従業員の不満リスク 声を上げても無視されたら、社員のやる気が下がり、退職や労働トラブルにつながります。
取引先とのリスク 契約違反を放置した結果、取引先から損害賠償請求を受ける可能性もあります。
つまり、公益通報じゃなくても「組織の健全性を守るシグナル」として扱うことが大事なんです。
実務的な対応ポイント
1. まずは受け止める
どんな内容でも、最初から「これは公益通報じゃないから」と切り捨てずに、真剣に聞くことが大切です。
通報や相談を受けたら、きちんと記録に残す
公益通報に当たるかどうかを一度評価する
該当しなくても、調査の必要があるか検討する
こうすることで、通報者は「ちゃんと受け止めてもらえた」と安心します。
2. 調査はきちんとやる
公益通報じゃなくても、内部監査や法務の担当者が入って調査するのが望ましいです。
調査範囲と方法をあらかじめ決める
関係者にヒアリングを行う
結果を経営層に報告する
調査を全くしないと、「どうせ会社は動かない」と社員から信頼を失います。透明性が大事です。
3. 是正措置とフィードバック
調査の結果、法律違反まではいかなくても「社内規程違反」や「不適切な行為」が見つかることは多いです。そういうときは是正措置が必要です。
規程違反には懲戒や改善指導
契約トラブルなら契約書の見直し
ハラスメントなら再発防止の研修
そして、通報者には「どう対応したか」を簡潔にフィードバックすることが重要。「報告したのに音沙汰なし」では制度自体の信頼性が崩れます。
4. 通報者を守る
通報のきっかけで不利益を受けることは、公益通報に当たらない場合でも絶対に避けるべきです。
名前や内容の秘密を守る
通報を理由に人事評価を下げない
報復行為を防ぐ仕組みを周知する
こうした対応で「安心して通報できる環境」をつくることが、制度全体の信頼性を支えます。
規程と教育の大切さ
内部通報制度を形だけにしないためには、ルールづくりと教育が欠かせません。
ルールづくり 公益通報でなくても調査対象にする場合がある、ということを規程に明記しておく。
周知・教育 社員に「どんなときに通報できるのか」「相談できる窓口はどこか」を丁寧に伝える。
改善サイクル 実際にあった通報事例を分析して、制度を定期的に見直す。
こうした仕組みがあれば、社員も「通報しても無駄じゃない」と思えるようになります。
まとめ
公益通報に当たらない告発が来たときでも、会社がやるべきことははっきりしています。
①まずは真剣に受け止める
②必要ならきちんと調査する
③是正措置をとり、通報者にフィードバックする
④通報者が不利益を受けないように守る
⑤規程や教育で制度を強化する
公益通報かどうかだけで線を引くのではなく、通報を「会社をよくするチャンス」と捉えて誠実に対応することが、最終的には企業の信用やコンプライアンス経営の強化につながります。


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