コンサルって何者? ――ちゃんとしたコンサルとうさんくさいコンサルを見分ける視点
- 7fuku-law
- 8月29日
- 読了時間: 4分
弁護士をやっていると、相談者の方から「コンサルに高額なお金を払ったけど成果が出ない」「これは詐欺じゃないんですか?」というご相談を受けることがしばしばあります。
借金を返さない相手の職業が「自称コンサル」だったというのは、もはや弁護士業界では「あるある」と言っても差し支えありません。
そこで今回は、ちょっと砕けた感じで「コンサルってそもそも何をするのか?」という話から、「ちゃんとしたコンサル」と「うさんくさいコンサル」の違い、さらに「なぜコンサル業界に怪しい人が多いのか」という点について語ってみたいと思います。
1.そもそも「コンサル」って何をする人?
コンサルタント(consultant)という言葉は英語で「相談する」「助言する」という意味合いから来ています。つまりコンサルタントとは、クライアント(依頼者)の課題を分析して、その解決策を提案し、必要に応じて実行まで支援する専門家のことです。
分野は実に多岐にわたります。
経営コンサル:売上アップ、コスト削減、組織改革など
戦略コンサル:新規事業、海外展開、M&Aといった全体戦略
ITコンサル:システム導入やDX支援
人事コンサル:採用戦略、評価制度設計、労務管理
会計・税務コンサル:資金繰り、節税、財務分析
共通しているのは「知識や経験をもとに、依頼者の意思決定を助ける」点です。言い換えれば、専門知識や過去の経験を「相談料」として提供しているわけですね。
2.ちゃんとしたコンサルの特徴
じゃあ、どんなコンサルが「ちゃんとしている」と言えるのか。いくつかポイントを挙げてみます。
専門性や実績が明確「この業界で10年やってます」「こういう企業で導入実績があります」と、具体的な経験を提示できる。
課題を具体的に分析してくれる「御社の場合はこの数値が問題です」「改善策は3つあります」と明確に示す。
契約内容が透明報酬の金額、契約期間、成果物の内容が文書に明記されている。
依頼者にとって検証可能な助言やってみて結果がどうなるか測れる形で提案してくれる。
依存させずに自立を促す「最終的には自分たちで運営できるように支援します」というスタンス。
3.うさんくさいコンサルの特徴
逆に「これは怪しいな」というコンサルは、次のようなパターンが多いです。
専門性が不明確「成功ノウハウを知ってます」「人脈があります」と抽象的な言葉しか言わない。
成果が数値で測れない「波動が上がります」「氣が良くなります」など、科学的に検証できない。
料金が高額で曖昧「今日だけ特別価格です」「本来100万円だけど今なら50万円です」などのセールストーク。
契約書を交わさない口約束だけで契約を進めようとする。
依存させる方向に持っていく「この講座を続けないと成功できません」「次の高額プランが必要です」と階段式に課金させる。
こうした特徴が揃っている場合は、危険信号だと感じた方がいいです。
4.業界全体の“感覚的な比率”
あくまでも、私個人の、弁護士として相談を受ける中での実感、業界の比率はざっくりこんな感じです。(トラブルの相談が多いので、かなり辛口寄りかもしれません。(;^ω^)
本当に専門性が高く、実務で成果を出せる“ホンモン”:全体の1割
悪質とまでは言えないが、中身が薄い“グレー”:全体の6割
明らかに詐欺的で“うさんくさい”:全体の3割
5.「ホンマに儲かる秘訣を知ってるなら自分でやれ」の理屈
よく言われるのが、「だいたい、本当に金稼ぎの秘訣を知っているなら、門外不出にして自分でやればええやないか」という話です。これはある意味で真理です。
株式投資や不動産投資の世界では、再現性のある手法を持っている人は基本的に口外しません。広まれば広まるほど優位性が失われるからです。だからこそ「自分は知っている」と声高に宣伝している時点で怪しい、というのは直感的に正しい見方です。
6.ただし例外もある
とはいえ、「自分でやらずに教える」ことが合理的になるケースもあります。
スケール型のノウハウIT導入や組織改革などは、相手の会社によって応用の仕方が違うので「教えることで稼ぐ」ことが成立する。
ブランド化の戦略「この人に教えてもらった」という権威付けが依頼者に価値を生む。
知識を商品化して売るモデル本人は実務をやらずに「情報商材」として販売するケース。ただし、これはグレーから怪しい領域に多い。
つまり「知ってるなら自分でやれ」が正しい場合もあれば、「教えること自体がビジネスになる」という場合もあるわけです。
7.まとめ
コンサルとは、依頼者の課題を分析して解決策を提案・支援する専門家。
ただし資格が要らない世界なので玉石混交。
筆者の感覚的な比率で言えば「ホンモン1割・グレー6割・うさんくさい3割」。
「ホンマに儲け話を知ってるなら自分でやればええやん」という直感は正しいが、例外的に“教えること自体が合理的”なケースもある。
結局のところ、依頼する側が「どう見極めるか」がすべてです。契約書をしっかり確認する、数値で検証できる助言かどうかを見極める、実績をきちんと調べる――このあたりを押さえるだけでも、リスクはかなり減らせます。


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